心臓病は、いずれ腎機能に障害を齎す。これは、両臓器が影響し合って病態を進行させる心腎症候群(cardiorenal syndrome、CRS)という概念である。そして、この概念を基にすると、一次診療において良く遭遇する犬の僧帽弁疾患(myxomatous mitral valve disease、MMVD)も例に漏れることなく、腎障害を起こすと考えられるのだ。では一体、どのような指標・因子が、この腎障害を早期に把握するマーカーとなり得るのだろうか。腎不全マーカーとして確立されたSDMAか、それともシスタチンC(CystC)か、あるいは・・・・・。それを明らかにすることは、犬の循環器診療のレベルを向上させるキッカケになると思われる。
そのような背景の中、ポーランドの獣医科大学らは、①臨床上健康な犬と②MMVD(ACVIM StageC)の犬に協力を仰ぎ、心エコー図検査の所見から算出される腎血管抵抗指数(renal resistive index、RRI)を両群間で比較する研究を行った。すると、①に比べて②では、有意に高い数値が示されることが判明したという。加えて、その数値の上昇は、8歳未満で病状が安定している心不全症例で特に顕著であることが分かったとのことである。
本研究では、RRIとSDMA・CystCの値は相関関係になかった。しかし、同大学らは、『RRIは8歳未満で病状が安定している心不全症例の腎障害を把握する有用なマーカーである』と述べる。RRIは、SDMA・CystCよりも鋭敏なマーカーだと。果たして、この指数は、犬の心腎症候群を早期に発見するマーカーとして普及するだろうか。今後の動向に注視したい。

本研究では8歳以上の症例のRRIは①と同程度となっているので、その理由について議論を進める必要があるかも知れません。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33730896/


