14歳齢の犬が動物病院を訪れた。頭部の変形、眼球突出、鼻汁を認めることから当初、頭部外傷が疑われた。そのため、画像診断へと進んだのだが、結果として「外傷ではない」ことが判明。脳や眼の明らかな構造的異常はなかったものの、レントゲン検査で前頭骨と頭頂骨、CT検査で前頭骨・頭頂骨に加えて上顎骨、鼻甲介、鼻骨の溶解性病変を発見したという。果たして、本症例に起きた病的現象とは一体、何であろうか。
超音波検査にて、「溶解」した部位に血管新生と石灰化を伴う柔らかい病巣を確認。FNAの結果は、扁平上皮癌であった。初診から3ヶ月が経過。罹患犬は次第に元気・食欲を失い、失明した。安楽死後の剖検でも、扁平上皮癌という診断が下された。
『頭部の骨を広範囲に溶解する扁平上皮癌を発症した犬に関する報告は初めてである。』
症例報告を行ったポーランドの大学らは、こう述べる。また、本症例に類似した「溶解」を認める症例に遭遇した場合は、上皮性腫瘍を疑うことが望ましいと訴える。よって、既に心当たりのある犬を診察している獣医師は、FNAや生検などによって病変部を精査する検討をして頂けると幸いである。

腫瘍組織を覆う皮膚(表皮)は正常であったとのことです。また、肝臓に結節性病変を認めたものの、肺や胸部リンパ節に異常はなく、「転移を起こした証拠は無い」と結論付けられております。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33823849/


