ヒューマングレード。近年注目を浴びている、この言葉には、「ヒトが食べられる」という意味が込められている。つまり、本稿タイトルにある「ヒューマングレードのドッグフード」とは、ヒトが食べられる食材で作られたドッグフードを指し、それらは一部のオーナーの人気を獲得しているようなのだ。では果たして、同フードには、どのような利点があるのだろうか。また、欠点はあるのだろうか。高品質と謳われることもあるフードの真の姿を明らかにすることは、犬の食餌管理法を向上させるヒントを得る絶好の機会になるかも知れない。
そこで、イリノイ大学は、平均年齢5.5歳の犬12匹に協力を仰ぎ、①ヒューマングレードのドッグフードの消化効率と、それを食べた犬が排出する糞便の量について調べる研究を行った。なお、同研究では、ヒューマングレードの他に、②一般的な市販のドッグフードと③新鮮な鶏肉ベースのフードも採用されており、それぞれの消化効率および糞便の量が比較されている。すると、③に比べて②は、②に比べて①は、より消化効率が優れており、②を食べた犬が排出する糞便の量は、①または③を食べた犬のそれよりも多いことが判明したという。
上記のことから、①は、非常に消化効率が高いことが窺える。要するに、同フードは、消化管に負担をかけない製品(食品)と言えるだろう。よって、今後、消化管に負担をかけない方が良いと思われる症例(嘔吐、下痢、便秘など)に①を給与する研究が実施され、日々の健康を支えるこのフードに、療法食という付加価値が与えらえるか否かが検証されていくことに期待している。そして、消化器にトラブルを抱える犬たちを救う治療法が一つ増えることを願っている。
参考ページ:
https://academic.oup.com/jas/article-abstract/99/2/skab028/6123189