筆者自身の経験も踏まえながら考察すると、お腹を下している時あるいは気持ちが悪い時は、消化に良い食べ物を食べることが、症状の悪化を防ぐ一つの対処方法になっていると思われる。とここで、ふと疑問が頭に浮かぶ。嘔吐や下痢を起こした動物も、消化に良い食べ物を食べることが、その症状を緩和するキッカケになるのだろうか。
そのような背景の中、王立獣医科大学が運営する大規模症例データベースVetCompassが、以下に示す統計学的データを公開した。
◆慢性嘔吐または原因不明の下痢を呈する猫に対する食餌療法◆
・50万匹を超える猫の診療記録を解析した
・嘔吐または下痢の治療で加水分解食を給餌された症例は970件以上に昇る
・その70%以上の症例は食餌療法のみで治療されている(抗生剤やステロイド剤を使われていない)
・食餌療法のみを適応した症例の34%は治療反応性が悪かった
・対して薬剤を併用している症例では60%以上が治療に反応しなかった
・6歳以上の個体、食餌療法の前に薬物療法を適応した症例も治療反応性が悪くなりやすい
上記のことから、慢性嘔吐または原因不明の下痢を呈する猫を診察する場合は、抗生剤やステロイド剤を使用する前に、加水分解食による食餌療法を検討することが望ましいと考えられる。よって、両疾患の治療にて、薬剤の処方を第一に選択する習慣のある獣医師は、食餌療法の効果を独自に検証して頂けると幸いである。

各症例の経過は、6ヶ月以上の期間を追跡しているとのことです。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32895973/


