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子猫の心臓を評価するための参照基準値を設定した研究

投稿者:武井 昭紘

肥大型心筋症など、子猫が抱えているかも知れない心疾患を正確に把握することは、小動物臨床において大変に重要な診療の一つだと言える。しかし、心臓の形態や機能を評価する様々な検査項目の参照値は、1歳齢以上の成猫に向けて設定されていることが少なくないのが現状である。つまり、大人の猫になるべく成長を続ける子猫のための参照値を改めて考える必要があるのだ。

そこで、アメリカの獣医科大学らは、80匹以上の健康な子猫(6-16週齢)を対象に、彼らの心臓の形態を評価する検査項目の参照値を設定する研究を行った。すると、NT-proBNPは成猫と同等の範囲に収まるものの、VHSは中央値9.5と成猫よりも高い値になることが判明したという。また、心エコー図検査の項目は、体重と年齢に相関して変動することが明らかになったとのことである。

上記のことから、NT-proBNPを除いて、子猫に成猫の参照値を転用することは望ましくないことが窺える。よって、今後、研究を重ねて、細かくはなるが、週齢または月齢ごとに子猫の参照値が設定されていくことに期待している。

本研究では、子猫において三尖弁逆流は一般的なもので、約38%の個体に認められることも分かっております。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32812464/


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