繰り返し発作を起こす「てんかん」は、犬で一般的に見られる神経系の病気である。そのため、当該疾患の発症メカニズムの解明や治療法・予防法の開発を目指す研究が盛んに行われている。しかし、「一般的」にも関わらず、罹患犬を飼っているオーナーたちの「大変さ」に焦点を当てた研究は乏しいのが現状だ。果たして、彼らは、どのように「てんかん」を抱える愛犬と向き合っているのだろうか。それを明らかにすることは、「大変さ」を理解し、犬とオーナーのQOLを改善するキッカケとなるのではないかと思われる。
そのような背景の中、王立獣医科大学(Royal Veterinary College、RVC)は、彼らの経験を聴き取る調査を実施した。すると、以下に示す事項が詳らかになったという。
◆「てんかん」を抱える犬のオーナーの大変さ◆
・はじめて愛犬の発作を見た時、ショックを受け、否定的な感情を抱くオーナーが多い
・否定的な感情とは、愛犬の将来(病気の進行)への不安、発作に対する恐怖などである
・愛犬の世話によって、仕事に影響が出るオーナーが居る
・発作が予測できないオーナーの睡眠は障害され、幸福感は減少する
・予測できない発作を「時限爆弾」と表現するオーナーも居る
・毎日の投薬や世話を支援してくれるサービスを見付けることに苦労しているオーナーが居る
・家族、友人、職場の同僚が犬の「てんかん」に対する理解を持っていない場合もある
・インターネットを利用してピアグループ(境遇が同じヒトの集まり)に参加するオーナーが多い
睡眠が充分に取れず、仕事も上手くいかない。自然と幸福感が減っていく。それでも周りは理解してくれない。これが、「てんかん」を抱える犬を飼っているオーナーの大変さの一端なのかも知れない。彼らを精神的にも肉体的にも支えるサービスは、一体どのような形式が良いのだろうか。そして、その実現可能性は、いかほどか。各国・各地域が検討して支援システムを構築する努力をやめないことが、動物福祉(ペットのQOL)、ひいてはヒトの福祉(オーナーのQOL)を向上させる重要なポイントなのではないだろうか。

この調査の結果は獣医師が「彼ら」を支える方法を確立する上でも貴重であると、同大学は述べています。
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