『この子は、クッシング症候群ではないか?』
経験を積み、学んだ知識を動員すると、問診や臨床検査を進める中で「疑わしい疾患」というものが頭に浮かんでくる獣医師は多いと推察する。そこで、皆様に訊きたい。その獣医師の勘、あるいは、経験則による鑑別能力は、どれ程の精度を誇っているだろうか。そして、もしも、勘や経験則から導き出された(仮の)診断の正しさが数値化されるとしたら、どう感じるだろうか。
そのような背景の中、王立獣医科大学(Royal Veterinary College、RVC)らは、大規模症例データベースVetCompassに登録されている、クッシング症候群と診断された犬389匹、診断されていない犬541匹の診療記録を基に、彼らがクッシング症候群である可能性を予測するツールの開発と、その有用性を検証する研究を行った。すると、同ツールは、診療記録から得られる情報をスコア化し、その数値に応じて「診断の正しさ」を判定するシステムとして完成し、最低値の症例(クッシング症候群である可能性0%)から最高値の症例(96%)までの可能性を段階的に表示することに成功したとのことである。
上記のことから、今回紹介したシステムは、犬のクッシング症候群を診断する有用なツールだと考えられる。よって、今後、同ツールがオンラインで利用できるものとしてリリースされ、クッシング症候群を早期に、且つ、正確に診断するべく、世界各地の小動物臨床で活躍することを期待している。

スコア化されている「診療記録から得られる情報」につきましては、リンク先の文献をご参照下さい。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32935905/


