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犬の骨肉腫組織における鉄代謝の変化を観察した研究

投稿者:武井 昭紘

一般的に、腫瘍細胞は、正常な機能と増殖能力を有する細胞に比べて、鉄分の要求量が増していると言われ、それが腫瘍性疾患の病態進行に深く関与しているとされている。一方で、話は変わるが、犬の骨肉腫は、診断時に90%以上の確率で肺や骨に転移しているという非常に悪性度の高い動きを見せることが知られている。つまり、2つの事象を纏めると、当該疾患における鉄分の要求量の増加を裏付ける証拠が確認されれば、その悪性度を抑え込む治療法が確立できるかも知れないのだ。

そこで、イタリアの大学らは、骨肉腫を罹患した犬から得た腫瘍組織において、鉄の取り込みに関わるタンパク質トランスフェリン受容体1(Transferrin Receptor-1、TFR-1)の発現を確認する免疫組織学的研究を行った。すると、腫瘍細胞の85%以上と腫瘍に分布する血管内皮細胞の100%に、TFR-1が存在していることが判明したとのことである。

上記のことから、犬の骨肉腫を構成する組織ではTFR-1が発現しており、それに伴う鉄代謝の亢進が起きている可能性が示唆されたものと考えられる。よって、今後、TFR-1の機能を阻害する薬剤や発現を低下させる遺伝子治療が開発され、(犬の)骨肉腫の増殖や転移が抑え込めるか否かについて検証されていくことに期待している。

70%以上の腫瘍細胞の核では、細胞増殖を証明するPCNAが存在していたとのことです。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32239803


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