臨床獣医師の皆様からご賛同を得られるものと信じているが、同じくヒトに近しい犬と比較すると、猫には、慢性腎不全を発症する個体が明らかに多く存在している印象を受ける。そこで、本サイトでは、この両者の差に潜む要因に関して、いくらかの研究を紹介させて頂いているのだが、しかし、まだ全容解明には程遠い状況が続いているのが現状なのだ。
そのような背景の中、イギリスのノッティンガム大学は、慢性腎不全(chronic kidney disease、CKD)の猫における「ある重金属」の代謝に関して研究を行った。なお、同研究では、一般家庭で飼育されている猫を対象にして、CKDの一般的な原因である慢性間質性腎炎(chronic interstitial nephritis、CIN)の有病率と、腎臓または尿中のヒ素含有量が調べられており、犬のそれと比較している。すると、犬(15%)よりも猫(51%)の方がCINの有病率が高く、2つのサンプル(腎臓、尿)に含まれるヒ素も多いことが判明したとのことである。更に、そのヒ素は、ペットフードから検出されるヒ素化合物アルセノベタインの形態をとっていたというのだ。
上記のことから、犬と猫の腎臓は、ヒ素の代謝において大きな違いを有していると考えられる。よって、今後、この重金属が猫の腎臓に蓄積することの意味を追究することが、「猫=CKDが多い動物」というリンクを解析する一つの鍵になるのではないだろうか。

本研究では、猫の腎臓はヒ素化合物を蓄積しやすいことが確認されましたが、CINの有無と腎臓のヒ素含有量との関連性は見出せなかったとのことですので、更なる研究に期待を致します。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32081923


