米国のドッグレースは、20世紀の初めに始まり、2億ドル(約226億円)を売り上げる規模へと発展し、全国的に広まっていったギャンブルの一種であるが、2013年には、年間500匹弱のレースドッグ(グレイハウンド)が斃死していることが発覚し、動物福祉の観点から、レース自体の存在を疑問視する声が多く上がるようになった。これは、3日に1匹のグレイハウンドが犠牲になっていることと同義で、実に94%のレースドッグが3歳に満たずに亡くなっているという推計に一致してしまうほどに凄惨な現実である。また、負傷リスクの高さ(10年間で15000匹)、飼育管理の不備(身動きが取れないケージ管理)、非人道的なレースコースの設置(高電圧装置でコースを囲む)などといった問題も発生しており、各州(マサチューセッツ、ロードアイランド、ニューハンプシャー、コロラド)が次々と法律によって、ドッグレースを禁止する事態に陥った—–。
このような背景の中、2018年11月、現存する17のレース場の6割を有するも法規制がしていないフロリダ州が、2020年までにドッグレースを段階的に廃止する発表を行ったとのことである。
おそらく、これで、アメリカでのドッグレースの文化は終焉を迎えるものと思われる。
しかし、この動きには、フロリダ州のレースに参戦していた8000匹のグレイハウンドが突然にして行き場を失うリスクが潜んでいる。よって、今後、グレイハウンドの殺処分件数が急増しないための法的措置が取られるかについて、動向に注視していきたい。
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