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犬の肺腫瘍に対する新しいCT検査の有用性を検証するトライアル

投稿者:武井 昭紘

犬の肺腫瘍は、10万頭に約6例の割合で発生する呼吸器系の腫瘍性疾患で、全体の1/4~1/2程度が無症状で経過し、健康診断などにおいて偶発的に発見されるケースが多い。一方で、治療法は主に外科手術が選択されるため、肺腫瘍は、オーナーへの経済的負担や罹患犬への侵襲的な負荷が非常に大きい病気とも言える。故に、早期発見・早期治療による負担・負荷の軽減は重要であり、これを叶える診断法の確立または改良も大変有意義なことと考えられる。

そこで、カリフォルニア大学は、肺腫瘍に対する検査法の有用性を検証するためのトライアルを立ち上げて、条件(肺腫瘍と診断されていること)に合う症例を募っている。なお、同検証では、新しい造影剤を用いたコントラストCTスキャンを実施するとのことで、全ての検査費用と最大2000ドル(約22万円)の治療費を大学側が負担する。

このことより、上記のトライアルから集積されたデータが、肺のCT検査のみならず、一般診療における肺腫瘍を疑うチェックポイントやシグナルメントをもアップデートしていくことに期待したい。

新しい造影剤を用いたコントラストCT検査が、臨床試験を経て世界的に普及し、多くの命を救うことを祈っております。

 

参考ページ:

https://www2.vetmed.ucdavis.edu/clinicaltrials/local_resources/pdfs/flyers/culp-johnson-primary-lung-tumors.pdf


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