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保護施設・シェルターの負担を大幅に軽減させる可能性を秘めた研究システム

投稿者:武井 昭紘

近年、日本では、動物保護施設における殺処分ゼロを達成しようとする取り組みが全国的に広まりつつあるのだが、何れの施設にも必ず収容頭数の限界(キャパシティ)は存在しており、「保護件数」自体を減少させる、または、適正な収容頭数に留めるシステムの構築や法整備が急務と言える。しかし、多頭飼育崩壊やパピー工場の摘発に関するニュースは後を絶たず、保護件数の減少、保護施設への依存度の高さを解消する糸口を掴めていないのも事実である。

そのような背景の中、アメリカの大学らは、前述の課題点を克服できるかも知れない「ある研究」を発表した。ただし、今回紹介したい事項は、研究内容ではなく、研究に用いる動物の選定と場所であることをご了承頂きたい。なお、同発表によると、猫の行動を観察するために屋内外の一般的な飼育環境を研究施設内に再現し、オーナーの居ない猫を18カ月飼育・管理するため、当該期間中は過剰繁殖と安楽死を回避できるとのことである。

ここからは、仮定の話となるが、既定の18カ月間にて里親が決定するのであれば、保護施設(シェルター)への負担がゼロということになる。また、上記のモデルケースが本国にも導入されたとしたら、①殺処分ゼロに加えて、②保護施設への依存度および③実験動物の数を軽減し、④研究の進展も望める好循環が生まれることが大いに期待できるのではないだろうか。

研究内容も、猫をリラックスさせる方法など、保護施設から里親へ移行しやすくなるプログラムの開発に関連していると、研究に参加してくれた猫は理想的なオーナーに巡り会える確率が高まるかも知れません。

 

参考ページ:

http://journals.sagepub.com/doi/pdf/10.1177/1098612X18791872


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