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トロンボエラストメトリーの小動物臨床応用~DICを視覚的に解析してモニタリングする~

投稿者:武井 昭紘

トロンボエラストメトリー(thromboelastometry、TEM)とは、生体の血液凝固線溶系をグラフ化して視覚的に捉える手法で、人医療ではデジタル化されたモニタリングシステムによって、血友病の治療効果判定などにも応用されている。一方で、小動物臨床においても、DICやフォンウィルブランド病などの血液凝固異常を呈する病態が知られているものの、TEMが広く普及するまでには至っていない。

そこで、フランスのリヨン大学は、DICを続発するリスクのある犬におけるTEMの有用性について検証を行った。なお、今回の検証では、約80匹の犬が対象となり、血液学的にDICと診断された症例(全体の40%)をTEMにて判別できることが確認されている。また、同大学によると、TEMの変化は母集団の死亡率とも相関しているとのことである。

上記のことから、TEMはDICの診断または発症の予測に有用であると考えられる。よって、今後、微量な血液サンプルで迅速にTEMを作成(グラフ化、数値化)できる小型の医療機器が開発されれば、一次診療レベルにおいて、DICを警戒すべき疾患を抱えた犬の命が数多く救えるようになるかも知れない。

(画像はイメージです)
今起きている病態を視覚化することは、ペットオーナーにも理解しやすい獣医療の実現に繋がるのではないでしょうか。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30115669


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