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犬における減感作療法に要する期間を半減させるアレルゲンの開発

投稿者:武井 昭紘

減感作療法(アレルゲン特異的免疫療法)は、アレルギー疾患やアトピーの治療法の一つに挙げられ、根治が望める医療技術とされているが、効果が得られるまでに長期間(半年~9カ月)を要することはデメリットと言える。故に、この時間的なハードルは、担当する獣医師の効果判定を難しくする要因であるとともに、オーナーに疑念を抱かせる(効果が無いと不安になる)ポイントにもなってしまう。

つまり、言い換えると、短期間で効果が実感できる手法の開発ができれば、当該療法の利便性は向上するはずである。

そこで、アメリカおよびスペインの大学らは、人医療で研究されているマンナン結合アレルゲンによる犬のアトピー性皮膚炎に対する減感作療法について検証を行った(マンナンとは酵母などの真菌類の細胞壁を構成する成分で免疫調整作用を有する多糖類を意味する)。なお、大学らによると、痒みを評価するスケール(pruritus Visual Analog Scale、pVAS)の数値が60%を超えて低下するまでに要する時間は3カ月で、いずれの供試犬(16匹)にも有害事象が認められなかったとのことである。

上記のことから、マンナン結合アレルゲンは、小動物臨床における減感作療法を効率化(短縮化)させる技術として期待できるのではないだろうか。また、本研究では、コナヒョウヒダニがアレルゲンとして使用されているが、他のアレルゲンをマンナンと結合させた場合にも同様の時間短縮が生じるかについても解析されていくことに期待したい。

マンナンが持つ減感作療法の効率化作用を有する物資は、まだ他にもあるのかも知れません。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30183126


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