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イギリスで発生するアラバマロットのシグナルメントを解析した統計学的データ

投稿者:武井 昭紘

イギリスにおいて、2012年より毎年のように発生しているアラバマロットは、皮膚病に続発する腎不全を呈して致死的経過を辿る「原因不明」の犬の疾患で、病因から治療法に至るまでが謎に包まれている。しかし、今年の8月に血液交換法(Plasma Exchange、PEX)を適用して一命を取り留める症例が報告され、治療法の確立とともに原因の特定への期待が高まりつつある。

そして、同月、王立獣医科大学が、当該疾患のシグナメントを公開した。なお、大学によると、約5年間(2012~2017年)に登録された症例データベース(VetCompass)をもとに、約45万匹の犬の情報を解析したところ、以下の事項が判明した。

◆アラバマロットのシグナルメント◆
・ハウンド種および狩猟犬(ガンドッグ)は他犬種の約10倍罹患しやすい
・雄よりも雌は約1.5倍罹患しやすい
・不妊去勢手術を経験した個体は罹患しやすい(約3倍)

上記のことから、リストアップされたシグナルメントから病因に迫ることができるかも知れない。また、PEXが奏功する症例とシグナルメントとの関連性も調査が進み、アラバマロットの全容解明に一歩でも近づくことを期待している。

多角的なアプローチによって研究・解析が進み、アラバマロットで亡くなる犬が激減することを願っております。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30150308


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