①猫の「てんかん」など発作を伴う疾患に対する治療薬は未だに体系化が完了しておらず、今年2月に、イギリスの王立獣医科大学が一つの論文を発表したばかりである。そのため、②犬の治療薬として汎用されているフェノバルビタール、ゾニサミドが猫に対しても最適な薬剤であるかについては議論が尽くされていないことに加えて、レベチラセタムという薬剤の有用性にも注目が集まっている状況で、②と比べると①は発展途上の分野と言える。また、何れの薬剤を選択しても、1日2~3回の投与回数が原則的となり、猫の投薬ストレスを最少限化するプロトコールの確立という観点からも改善すべき課題点は残されている。
そこで、ウィスコンシン大学およびオーバーン大学は、1日1回の投薬で効果を発揮する徐放性レベチラセタム(extended release levetiracetam、XRL)の有用性に関して検証を行った。なお、本研究では、臨床上健康な猫が対象となっており、当該薬剤にて有効血中濃度を維持できることが判明するとともに、副作用が出現した場合には用量の調整によって解決できることも確認されている。
上記のデータを基に、今後、実際の症例におけるXRLの効果が立証され、「猫に優しい獣医療」が一歩でも前進することを願っている。
参考ページ:
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5980453/