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現行の手法を遥かに上回る高精度を誇る短時間型の狂犬病検査法

投稿者:武井 昭紘

狂犬病ウイルスに感染し発症した動物(人間を含む)は、ほぼ100%死亡することが知られており、感染を抑止する防疫と肩を並べるほどに、早期診断法の確立が重要視されている。しかし、現行の蛍光抗体法(direct fluorescent antibody、DFA)は、抗原抗体反応を起こすためのインキュベーションタイムなど、時間を要する工程があるとともに、偽陰性および検出不能という結果が多く出てしまうデメリットを抱えている。

そこで、アメリカの米疾病対策予防センター(Centers for Disease Control and Prevention、CDC)は、リアルタイムPCR法による短時間型(2時間程度)の狂犬病検査法であるLN34 testを開発し、有用性を検証した。すると、DFAと比較して、LN34 testには偽陰性が生じないことが判明するとともに、DFAにて検出不能となってしまうサンプルに陽性・陰性どちらかの判定が下せることも確認された。

なお、上記の手法は、ホルマリン固定組織からのRNA検出も可能とのことで、今後の臨床応用に大きな期待がもてるのではないだろうか。また、将来的に、血液や感染経路となった外傷部位の組織を用いて検査が実施できるようになれば、全世界の検疫や一般の動物病院における狂犬病鑑定の常識を大きく変えるかも知れない。

日常生活で起きる犬によるヒトの咬傷事故において、ヒトおよび犬、両者の狂犬病検査法が迅速・短時間となれば、感染の有無に対する不安の解消も早くなると思います。

 

参考ページ:

http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0197074


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