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脳疾患に対する確定診断を下すための新たな血液検査法の有用性

投稿者:武井 昭紘

頭蓋内の病気は、神経機能検査で推定できるのだが、確定診断を下すためには、麻酔下でのCT・MRI検査や脳脊髄液検査などが必要となる。しかし、一部の症例では、原因が特定できない炎症(meningoencephalomyelitis of unknown etiology、MUE)を抱えている場合があり、形成される病変を腫瘍と判別することが時に難しく、前述した検査とは異なるアプローチで診断に至る手法の確立が望まれている。

そこで、バージニア・メリーランド大学とアリゾナ州立大学は、血清中タンパク質マイクロアッセイ(Serum immunosignature protein microarray assays)を用いて、①臨床上健康な犬、②脳腫瘍、③MUEを見分ける試験的研究を行った。なお、同アッセイは、生体内のタンパク質に抗体を反応させて、多種多様な発色パターンからプロファイルを作成し、その相違点を観察するものである。また、両大学らによると、①②③のプロファイルは何れも、全く異なるパターンを示すとのことで、文献中の画像でも、その様子が非常に理解しやすい。

上記のことから、脳疾患の確定診断法として、「麻酔を避けた選択肢」を提案できる未来が訪れるのかもしれない。

血清中タンパク質マイクロアッセイが、「てんかん」の確定診断にも有用であると立証されれば、小動物臨床にとって大きな一歩となるかも知れません。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29868618


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