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謎の致死性疾患アラバマロットに罹患した犬が救われた治療法

投稿者:武井 昭紘

イギリス国内で周期的に発生しているアラバマロット(Cutaneous and renal glomerular vasculopathy、CRGV )については、以前の記事で取り上げた通りである。改めて説明すると、この病気は、皮膚疾患(発赤、腫脹)から始まって、四肢の疼痛を伴って、1週間以内に腎不全に陥り致死的経過を辿るほどに危険度が高いのだが、原因や治療法など、未だに全容は解明されていない。

そのような背景の中、王立獣医科大学は、治療法の確立への期待が高まる発表を先月行った。

同大学によると、アラバマロットに罹患した犬に血漿交換療法(Plasma Exchange、PEX)を適用すると、致死的経過を免れて生存する個体がいることを発見したとのことである。なお、PEXとは、対象動物の血液を細胞成分と液体成分に分離して、自己の細胞成分はそのままに、液体成分を自己とは異なる新しいものに入れ換える技術である。

上記のことから、①アラバマロットの治療法を開発する兆しが見えたと同時に、②罹患犬の血液から分離した血漿(液体成分)から原因を解明するチャンスを得たと考えられるため、今後の更なる研究に注視したい。

全症例がPEXで助けられるという訳ではないようです。今回の研究から、治療成績の向上(予後不良を良好に変える)に繋がるヒントが得られることを祈っております。

 

参考ページ:

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2018.00161/full


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