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大型犬7品種の運動器に関する数学的な差異を解析した研究

投稿者:武井 昭紘

犬は超小型~超大型に分類される通り、筋骨格のサイズが実にバラエティに富んでいるコンパニオンアニマルである。故に、「個体の大きさ」に左右される疾患も少なくなく、各品種ごとの特徴を多角的な視点からデータを解析・集積し、臨床現場へと応用していくことが重要だと考えられる。

そこで、トルコおよびキプロス(トルコの南方、地中海上)の大学は、7品種100匹を超える大型犬の後肢の筋肉群のX線検査所見を数学的に比較した。すると、以下に示すような結果を得たとのことである。

◆品種による運動器の多様性に関する所見◆
・大腿四頭筋の幅に差異はない
・ハムストリングと腓腹筋の幅
a.最も広い:ロットワイラー、ボクサー
b.最も狭い:ベルジアンシェパード、ゴールデンレトリーバー
・腓腹筋とハムストリングの幅の比率:ドーベルマンとベルジアンシェパードが最も高い
・大腿四頭筋とハムストリングの幅の比率
a.最も高い:ドーベルマン
b.最も低い:ジャーマンシェパード
・腓腹筋と大腿四頭筋の幅の比率:ジャーマンシェパードが最も高い

上記を基に、全犬種を対象とした大規模研究へと進展することとなれば、品種別の運動器評価基準の提供が実現し、小動物臨床における整形外科疾患の予防・診断・治療に新たなガイドラインや手法を提唱できるかも知れない。

本研究のようにデータ化された基準を利用するとともに、スマートフォンなどの携帯機器を用いて、品種ごと、個体ごとの運動器評価を進められるシステムが開発されれば、地域格差の無く客観性の高い獣医療が実現できると思います。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29761545


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