流通している電気機器で撮影できる動画は、思い出の記録、事件の証拠、歴史の証明、自然現象の実態解明など、多岐に渡る役割を担える優れた科学技術である。これは、小動物臨床においても同様で、ペットの神経症状や跛行を正確に(客観的に、ありのままに)伝えてくれる利便性があり、アイデア次第では更なる獣医療の発展を促す起爆剤として期待できる。
そこで、リバプール大学は、犬が咬む行動を起こす引き金または咬傷の重症化に繋がる因子に着目して、YouTubeにアップされた動画の解析を実施し、以下に示すような傾向を観察した。
◆犬の咬む行動に関する動画解析の結果◆
・ヒトの年齢は咬傷の重症度を決める因子(大人>新生児>子供)
・咬む20秒前から見られる前兆行動
a.相手をなだめようとする(appeasement behaviours)
b.その場から離れるか攻撃するか葛藤する(displacement behaviours)
・咬む21秒前から触っているヒトがターゲットにしやすい
上記の手法は、ペットオーナーであれ、動物病院スタッフであれ、ヒトが咬傷を免れるために有用であると思われる。加えて、問題行動に位置付けられているペットの攻撃性行動の中には、ヒトが不用意に動物に近づくことを避けるだけで解決するものが混ざっていることを示唆しているのではないだろうか。
参考ページ:
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5940802/