ニュース

スマートフォン対応の狂犬病管理タグ~アメリカで導入された多機能型鑑札~

投稿者:武井 昭紘

ある母集団での感染症予防を推進したい時、集団内の個体の70%以上にワクチン接種を実施しないと、期待する予防効果は得られない(シャルル・ニコルの法則)。

狂犬病予防法が施行されている本国でも、前述の70%を達成するには程遠いワクチン接種率に留まっている。また、仮に運航すれば、沖縄県の石垣島からフェリーで数時間の距離に位置する台湾では、狂犬病が発生しているという現実もある。つまり、接種率を向上させるアイデアや対策を考案することは、行政・民間が垣根を越えてでも検討すべき急務と言える。そこで、今回は、前述の課題とスマホ社会を繋げる可能性を秘めたペット用品を一つ紹介したい。

ミズーリ州カンザスシティに拠点を置くStone Manufacturing & Supply社は、大動物および小動物用の製品を多くリリースしており、狂犬病ワクチンの接種歴を刻印したタグ(Rabies Tag)も扱っている。さらに、同社はRabies TagにQRコードを付随し、以下に示す情報をスマートフォンで読み込めるようにした(Smart Rabies Tag)。

◆Smart Rabies TagのQRコードが教えてくれる情報◆
・ペットのプロファイル(写真、名前、品種、毛色、性別、誕生日、体重)
・オーナーの連絡先
・医療関連(ワクチン歴、治療歴、アレルギーの有無、ペット保険)
・登録ナンバー(狂犬病、マイクロチップ)
・好きな物、嫌いな物

加えて、GPSがオンに設定された機器でQRコードが読み取られると、位置情報とともに、オーナーとアニマルレスキューへアラートが送信されるシステムも搭載している。よって、将来的に、日本にもSmart Rabies Tagをモデルとした鑑札が導入されるようになれば、法律における義務とは別視点の動機によって、狂犬病ワクチンの接種率が上昇するキッカケとなるかも知れない。

「法律で決まっていることだから」とは全く異なるアプロ―チで、思わず狂犬病ワクチンを愛犬に接種したくなるような斬新・奇抜なアイデアが生み出されることを願っております。

 

参考ページ:

https://www.vetidtags.com/


コメントする