小動物臨床における眼科診療の一つである眼圧測定は、緑内障やブドウ膜炎などの診断に重要なヒントを与えてくれる一方で、①専門機器の使用方法、②測定部位、各々にコツがあり、検査をする獣医師、保定をする看護師、両者の経験に依存している側面を持っている。その中で、獣医学関連製品をリリースしているM.E.Technica社のTONOVET®という眼圧計は、①を簡素化しているため、比較的、新卒獣医師でも扱いやすい仕様となっている。しかし、TONOVET®であっても、②に対するコツは必要で、診断に影響しない(誤差範囲に収まる)数値を安定的に得られる測定部位について検証することが望ましい。
そこで、ケンブリッジ大学は、犬の角膜を区分けして、眼圧計の数値の変動を調査した。すると、角膜の中央であれば、TONOVET®と角膜のアングルが傾いても診断に支障をきたさないが、輪部に近付くにつれ、過小評価(低眼圧と誤った認識)のリスクが高まることが明らかとなった。
上記のことから、新人教育にてTONOVET®を用いる場合、アングルの調整に必死になる必要は無く、検査機器を角膜の中央に向けることのみに注意を払うよう指導することが、「ファーストステップ」なのではないだろうか。
参考ページ:
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29721435