国家試験に合格し晴れて獣医師となった新卒者は、希望、不安、プレッシャーなど、様々な感情を抱いており、学生時代に得た知識や技術が現場で通用するのか、自問自答を繰り返している。また、自分自身で下した判断の正否(客観的には100%の正解が無い事象も含む)について、常時、アドバイスを受けたり、答え合わせをしてもらえる労働環境が用意されていることも稀で、自信を失いながら、「できない事」を数えながら、日々の診療業務にあたっている若い先生方は少なくない。
しかし、視点を変えると、社内での指示・命令系統とは異なる「共に考える」という形式で業務をサポートしてくれる存在(業種・業態を問わずメンターと呼称する)が近くに居れば、前述した悩みは軽減され、純粋に動物を救うことに集中できるとも捉えられる。
そのような背景の中、英国小動物獣医師会(BSAVA)は、メンターおよびメンティ-(メンターのサポートを受けるヒト)を募集し、両者が協力して業務を進めるメンタリング制度を今夏から始めることを決定した。
仮に、イギリスにおいて同制度が確立し、広く普及していけば、多くのメンティーが目覚ましい成長を遂げるかも知れない。加えて、メンターは、一人前となったメンティーが担当するであろう動物の数の倍数(2人なら2倍、5人なら5倍、10人なら10倍)に相当する命を間接的に助けることができるのではないだろうか。
参考ページ:
https://www.bsava.com/Membership/NEW-Mentorship-Programme