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猫の多発性嚢胞腎を発見できる超音波検査のタイミングに関する研究

投稿者:武井 昭紘

犬猫の腎臓病の中には、遺伝性疾患が含まれており、腎臓に複数の嚢胞が形成される常染色体優性多発性嚢胞腎(autosomal dominant polycystic kidney disease、ADPKD)が、一例として挙げられる。また、このADPKDは、超音波検査にて診断を下すことが可能で、ペットオーナーや経験の浅い獣医師であっても、比較的理解しやいすい画像検査所見が認められるが特徴である。しかし、ADPKDを起こす遺伝子を持つ個体が病変を抱える時期(発症月齢・年齢)について明確にされておらず、健康診断をペットオーナーに薦めるタイミングを決定する客観的基準に乏しい。

そこで、ブラジルのサン・パウロ大学らは、ADPKDに罹患する猫種であるペルシャにおける月齢と腎臓の超音波検査との関連性を確かめる研究を行い、以下に示す結果を得ている。

◆ADPKDを発症する猫の月齢と嚢胞の数◆
・15ヶ月齢までに嚢胞1個以上
・16~32ヶ月齢までに嚢胞2個以上
・33~49ヶ月齢までに嚢胞3個以上
・50~66ヶ月齢までに嚢胞4個以上

上記のことより、猫のADPKDの定期健診を検討する際には、対象の個体が1歳前後になるまでに1回目の検査を終え、その後、約1年半ごとに1回以上のペースでモニタリングを続けることが望ましいと思われる。

腎臓、心臓など、チェックしたいポイントに合わせた定期健診のタイミングを研究することは、見逃しの少ない獣医療を実現すると思います。

腎臓、心臓など、チェックしたいポイントに合わせた定期健診のタイミングを研究することは、臨床経験に依存しない、且つ、見逃しの少ない獣医療を実現すると思います。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29652208


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