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IBDを罹患している犬に負担をかけない非侵襲性臨床検査を開発する研究

投稿者:武井 昭紘

犬の炎症性疾患(idiopathic inflammatory bowel disease、IBD)は原因不明の消化器症状の総称で、現在、多角的なアプローチによって、IBDの再分類(以下のリンクをご参照下さい)が試みられている。

◆IBDの再分類に向けた研究◆
血清中アミノ酸濃度測定
臨床検査と病理組織検査の関連性
糞便を用いた遺伝子解析

しかし、未だに議論は尽くされているとは言えず、①過去の報告の体系化と②今後の研究の進展に期待が寄せられている。

そのような背景の中、アメリカ、ドイツ、スペインの大学らは、IBDの重症度を反映するマーカーを糞便サンプルから見付けるための検証を行った。なお、同検証では、ヒトの慢性腸炎のマーカーであるカルプロテクチン(calprotectin、CP)に着目して、IBDの犬おける治療前・後の変動を観察した結果、糞便に含まれるCPは、治療前の罹患犬で上昇している一方で、治療に反応した個体では有意に減少していることが明らかとなっている。

上記のことから、CPは、犬のIBDの重症度を判定するマーカーとして有用であると考えられる。また、便検査は非侵襲性(動物の負担が少ない手技)であるため、将来的に、糞便中CP濃度測定を「優先順位の高いIBD診断基準」に組み込めるように確立させていくことが理想的ではないかと思われる。

糞便中CP濃度が上昇していない慢性腸疾患の症例をIBDと区別できるようになれば、再分類化が進むかも知れません。

糞便中CP濃度が上昇していない慢性腸疾患の症例をIBDと区別できるようになれば、再分類化が進むかも知れません。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29624721


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