心疾患の診断またはモニタリングを目的とした超音波検査(心エコー図検査)は、他臓器の診察と比較すると測定項目が多く、非常に複雑であるため、①ペットオーナーや②新卒獣医師が理解しづらい側面を持っている。また、いずれの項目も、過去の数値や参照値と比べて、高いのか低いのかを評価する場合が殆どで、「この先、どれくらい生きられるか」を推測できる情報に乏しい。つまり、シンプルかつ簡便な予後判定法が確立されれば、①②など、様々な立場のヒトが心エコー図検査を受け入れやすくなるばずである。
そこで、イタリアのパドヴァ大学は、100例を超える犬の僧帽弁閉鎖不全症の検査結果をベースにして、予後を左右する因子を探した。なお、同大学によると、最大左房容積(LA maximal volume、LAVmax)が予後と深く関わっているとのことで、将来的に、循環器診療に新たな概念(残された命を客観視すること)が付加されるかも知れない。
上記のことから、更に研究が進み、体格・犬種に影響を受けない補正式の作成や再現性の検証を経て、LAVmaxが、一般の動物病院でも直ちに導入できる予後判定法へと発展していくことを期待している。
参考ページ:
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/29572938/?i=9&from=dog