ヒトと同様、犬にも骨髄系腫瘍が発生することが知られており、獣医師国家試験で出題される程に代表的なものの一つに、多発性骨髄腫(Multiple myeloma、MM)が挙げられる。また、このMMの典型的所見は、血液検査やレントゲン検査に現れる場合があり、診断をくだす上で重要な手掛かりとなる。しかし、化学療法をスタートしてからの予後を判定できる因子は確立されておらず、愛犬の治療を継続するか、中断するかを決めるタイミングでの客観性に乏しいという課題点がある。
そこで、ウィスコンシン大学は、過去の報告を基に、MMの治療犬に臨んだ犬における予後判定因子の有無を調査した。なお、同大学によると、①腎臓病の併発、②好中球/リンパ球比(neutrophil-to-lymphocyte ratio、NLR)の変化が認められた症例は、予後不良となるとのことである。
上記のことから、更に研究が進み、当該疾患の治療モニタリング法がガイドライン化されれば、世界中の動物病院で、抗ガン剤の使用期間(いつまで続けるか)と予後について、獣医師とペットオーナーが「客観的」に話し合えるのではないだろうか。
参考ページ:
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/29566439/?i=3&from=dog