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過去のウイルス感染症と「未来」に起きる消化器疾患の繋がりを探した研究

投稿者:武井 昭紘

犬の慢性消化器疾患は、腫瘍、異物、IBD(原因不明を含む)など、様々な要因によって発症する。また、一部では、この病気の類症鑑別には、「過去の病歴」の聴取も重要であると考えられており、免疫力が低下した時期や幼齢期に感染するパルボウイルス(CPV)も深く関与しているとされている。しかし、CPV感染症は、「急性」症状を生じることが多く、将来的に「慢性」消化器疾患を患う可能性との因果関係は明らかになっていない。

そこで、ミュンヘン(ドイツ)の動物病院とテキサスA&M大学は、①過去に起きたCPV感染症と②未来の消化器症状との繋がりに着目して検証を行った。なお、同検証では、①を経験した犬(CPV群)と経験していない犬(コントロール群)の2群間でのオッズ比を算出して、CPV群での慢性消化器疾患の発症リスクは5倍以上という結論を得ている。

上記のことから、原因が特定できない(IBDと仮診断している)症例を担当している獣医師は、該当する個体の病歴を可能な限り遡って追跡していくことが望ましいのかも知れない。

ウイルス感染症を防ぐと未来の病気からも動物を守れると立証されれば、ワクチンによる予防医療の役割は、想定を遥かに越えるものとなるのではないでしょうか。

ウイルス感染症を防ぐと未来の病気からも動物を守れると立証されれば、ワクチンによる予防医療の役割は、想定を遥かに越えるものとなるのではないでしょうか。

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/29547647/?i=3&from=dog


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