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外固定に使うキャストの高さと足に加わる圧力の関係を解析した研究

投稿者:武井 昭紘

小動物臨床での整形外科において、外固定は、術後の経過を良好に保つ重要な役割を担う。しかし、ヒトとは異なり、動物は、「骨折しているから自発的にケージレスト」という発想に至らない傾向が強い。結果として、固定具を付けたまま、普段通りの動作を繰り返し、患肢に過度の摩擦・圧力が生じるため、皮膚トラブルへと移行してしまう。つまり、摩擦か起きにくい外固定用品が開発されれば、獣医療に革新をもたらすはずである。

そこで、コロラド州立大学は、キャストの高さと圧力の関係に着目して研究を行なった。今回の研究には、13匹の犬が参加しており、①踵骨レベルまでをキャストが覆うショートタイプ、②脛骨レベルまでキャストを伸ばしたトールタイプの一方を適応した際の踵骨および脛骨の頭側に加わる圧力が測定されている。

同大学によると、②に比較して、①における圧力(平均または最高値)が高くなるとのことで、外固定の全長を短くすると、患肢の皮膚への負荷が大きくなることが示唆されたと考えられる。

上記のことを基にして、圧力を最小限に抑えるギプスの高さ・長さが明確となれば、整形外科疾患の治療のデメリットである「皮膚の損傷」を大幅に軽減できるかも知れない。

将来的に、共通言語を持たない犬猫にとって、負担の少ない理想的な固定方法が確立されることを期待いたします。

将来的に、共通言語を持たない犬猫にとって、負担の少ない理想的な固定方法が確立されることを期待いたします。

参考ページ:

https://avmajournals.avma.org/doi/abs/10.2460/ajvr.79.3.317?url_ver=Z39.88-2003&rfr_id=ori%3Arid%3Acrossref.org&rfr_dat=cr_pub%3Dpubmed


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