既存の獣医科大学における教育の最重要事項は、所属する学生に獣医師資格を取得させることである。つまり、日本では、獣医師国家試験の合格者を一人でも多く輩出することに相当しており、これは、新たな入学志願者数の確保(大学の安定した運営)をも左右する。
故に、講義の大部分が、国家試験を意識した内容であったり、公務員および臨床現場の業務遂行に必須とされる「基礎」知識で占められている。結果として、動物病院の運営・管理に関する情報に触れることは極めて少なく、小動物臨床へと進路を決めた獣医師が、働き始めてから、マネージメント(臨床現場の経営学)と純粋な学問(大学で学ぶ獣医学)のギャップを痛感することになる。
そこで、アリゾナ州に拠点を置くPenn Foster Collegeは、ウェブ上で動物病院のマネージメントを習得できるプログラムを開設している。同プログラムは、単位制を採用しており、ウェビナー、サラウンドサウンドサポート(電話、メール、チャットなど)、コミュニティ(学生や教員の交流)による支援体制を整備しているとのことである。
獣医師を含む動物病院スタッフは総じて、経営学、社会学、心理学(患者の心理変化を推察する能力)に精通しないまま、社会人となる場合が多い。今後、上記のような学習システムが、日本でも広く普及していくことに期待したい。
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