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犬の慢性腎臓病におけるステージ別のリン排泄能力を解析した研究

投稿者:武井 昭紘

犬猫が慢性腎臓病(chronic kidney disease、CKD)に罹患すると、高窒素血症、CREの上昇、高血圧、電解質異常など、様々な臨床症状を呈するため、これらの病的現象は、CKDの進行度や予後を判定して、且つ、治療・入院・看護(在宅療法)の方針を左右する一因子にも用いられいることは言うまでも無い。しかし、いずれの数値も、CKDの初期から末期までを一貫してモニタリングできるものでは無く、病態を追い続けられる検査項目の開発は、大きな課題と言える。

そこで、ブラジルのサンパウロ大学は、リンの代謝に着目して、犬のCKDの病態解析を試みた。同研究には、血清中クレアチニン濃度に基づいて4段階のステージに振り分けられた症例49件(病状の軽い方から①②③④)および⑤臨床上健康な個体10匹が参加しており、リンの部分排泄率(urinary fractional excretion of phosphorus、uFEP)が算出されている。すると、⑤に比べて、①から③へと悪化するにつれてuFEPが増加していくことが明らかとなった。一方、④では、③と相違無いuFEPを示す個体とuFEPの減少に転じる個体が混在していることも判明した。

上記のことから、uFEPは、CKDの増悪時に頻発する高リン血症が「表面化する前に予期できる」検査法として発展していく可能性を秘めているかも知れない。

今回紹介した解析方法、uFEPが、CKDにおける高リン血症のメカニズムの全容解明へと繋がる研究分野となることを願っております。

今回紹介した解析方法、uFEPが、CKDにおける高リン血症のメカニズムの全容解明へと繋がる研究分野となることを願っております。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/29240673/?i=2&from=dog


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