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ビタミンDと犬の乳腺腫瘍との関わりを解明する足掛かりとなる研究

投稿者:武井 昭紘

ビタミンD(VD)は、太陽光の力を借りて体内で作られ、カルシウム(Ca)の代謝を調整する働きを持つ栄養素である。また、人医療において、VDは、細胞の分化・増殖、悪性腫瘍の転移に関与しているとされ、様々な検証が試みられている。よって、小動物臨床でも、Ca代謝とは全く異なる、VDの未知の作用を解明することは、これから先の獣医療に革命をもたらす「かも知れない」と考えることができる。

そこで、スペインのUniversity of Córdobaは、VD受容体(vitamin D receptor、VDR)に着目して、犬の乳腺組織または乳腺腫瘍の解析を行なった。同大学によると、正常な乳腺では100%、良性乳腺腫瘍では約40%、悪性では約26%の割合で、VDRが発現しているとのことである。

上記より、乳腺腫瘍の悪性度とVDRの発現には、何らかの関連性が潜んでいると言えるのではないだろうか。

今後、研究が進み、「健康な動物の体に存在している」VDやVDRに、犬の乳腺腫瘍の転移リスク、抗癌剤の副作用、術後疼痛などを軽減する効果があると、立証されるか注視したい。

新しい抗癌剤の開発とは異なる視点に立ち、生体内に存在する多様な成分と腫瘍細胞の関係を見直していくことも、医療の発展に重要なのかも知れません。

新しい抗癌剤の開発とは異なる視点に立ち、生体内に存在する多様な成分と腫瘍細胞の関係を見直していくことも、医療の発展に重要なのかも知れません。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/29178579/?i=3&from=dog


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