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混血種の犬における遺伝病の実態把握を試みた大規模研究

投稿者:武井 昭紘

小動物臨床における遺伝病は、ゴールデン・レトリーバーの筋ジストロフィー、ボーダー・テリアのシェイキングパピー症候群など、「純血種」に焦点を当てて注目されることが多い。しかし、中学高校で学ぶ生物(遺伝様式)を基にしてシンプルに考えれば、「混血種」の犬にも遺伝病は起き得るはずであるが、実態を把握するための研究は進んでいない。

そこで、アメリカの動物病院と大学(ミネソタ、パデュー)は、混血種、約35000匹の犬を対象に、商業化されている既存の遺伝学検査システムを用いて、5つの遺伝子変異の有無を調査した。すると、以下に示す2つの変異が、50匹を超える個体から検出された。

◆混血種の犬に認められた遺伝子変異◆
①高尿酸尿症・高尿酸血症(hyperuricosuria and hyperuricemia、HUU、ダルメシアンの遺伝病)
②第7因子欠損症(factor VII deficiency、FVIID、ビーグルなど)

このことから、国や地域ごとに、大きな母集団を設定(ブリーダー、流通、輸出入を考慮)して、純血と混血を区別しない遺伝学的研究プロジェクトを立ち上げることが、今後の獣医療の発展には必要なのかも知れない。

日本でも、同様の遺伝学的調査が行われることに期待しております。

日本でも、同様の遺伝学的調査が行われることに期待しております。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/29166669/?i=1&from=dog


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