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犬の骨折整復術に伴う疼痛を半減させる局所麻酔薬の使い方

投稿者:武井 昭紘

ヒトと動物の間には共通言語が無いことから、小動物臨床では、整形外科疾患で発生する疼痛を「察する」または「予測して制御する」ことが非常に重要であり、リハビリテーションの成績や病変部位の回復にも大きな影響を与える。

つまり、何をすれば、どれ程の痛みが緩和(数値化して表現)され、症例のQOLが改善するのか、麻酔、術式、術後管理など、多角的な視野を持って、検証していくことが大切である。

そこで、ギリシャのテッサロニキ大学は、骨折整復術中における局所麻酔の鎮痛効果について研究を行なった。同研究には、四肢を構成する長管骨が折れている犬23匹が参加しており、①骨折箇所に局所麻酔薬を投与した群(bupivacaine group)、②局所麻酔を使用しない群(placebo group)に分けられた。次いで、専用スケール(University of Melbourne Pain Scale、UMPS)にて、両群の感じている痛みをスコアリングした結果、②(9ポイント前後)に比較して、①のUMPSは、4ポイント前後へと有意に半減していることが明らかとなった。

上記のことから、犬の骨折治療で生じるかも知れない疼痛を予防的に軽減させる方法の一つとして、骨折内局所麻酔薬投与(intraoperative intrafragmentary injection)が有用であると考えられる。今後は、様々な体格や体重および個体の性格などに応じて、簡便に麻酔薬の調整ができるように、ガイドラインが作成されることを期待したい。

各疾患に対する術式の開発と同時に、それに伴う疼痛への対処方法を確立させていけるようになれば、罹患動物のQOLが劇的に改善するかも知れません。

各疾患に対する術式の開発と同時に、それに伴う疼痛への対処方法を確立させていけるようになれば、罹患動物のQOLが劇的に改善するかも知れません。

 
参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/29100681/?i=6&from=dog


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