大量の出血、溶血など、赤血球を失うリスクが高い疾患や外科手術では、①凝固系機能と②血液型に注意を払い、症例が有する血液を固める能力を把握するとともに、輸血療法の適応に向けた対応策を検討していくことが重要である。しかし、動物病院の設備によっては、①を外部機関へ依頼して、②を視覚に依存した手技(クロスマッチ)で行うため、時間を要したり、主観的側面が強くなるというデメリットから逃れられない場合も少なくない。
そこで、コロラド州に本社を置くHeska社は、院内で①および②を同時に検査できる医療機器として、Element COAG™ Veterinary Analyzerをリリースしている。同製品には、所要時間15分で主要な凝固系検査であるPT、APTT、フィブリノゲンを測定するシステムとともに、犬猫の血液型(犬ではDEA1.1の有無、猫ではAB式)をチェックする機能が搭載されている。更に、全項目の精査に用いる血液サンプルの最少量は100μLであり、検査に伴う赤血球の喪失を可能な限り抑えているため、非常に利便性が高い。
今後、世界各地の動物病院に訪れるであろう血液系疾患や難易度の高い外科手術を必要とする症例を数多く救えるように、Element COAG™ Veterinary Analyzerが普及していくことに期待したい。
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