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原因不明かつ有効な治療法が無いドーベルマン肝炎の病態解明に挑んだ研究

投稿者:武井 昭紘

警察組織やドックショーから始まり、家庭犬としても目にする機会があるドーベルマンには、原因不明の肝炎が起きることが知られている(自己抗体が疑われているものの不詳)。加えて、前述の通り、発症する理由が判明してないことから、ドーベルマンの肝炎(Doberman hepatitis、DH)における有効な治療法が確立されていないという現状もある。

そこで、北ヨーロッパに属するフィンランドのヘルシンキ大学は、質量分析法を用いて特定された「ある肝酵素」に対する自己抗体に焦点を当てて、DHの病態を解明する研究を行なった。同研究の概要は以下に示す。

◆供試犬のグルーピング◆
①症状を伴わないDH:25例
②臨床症状を認めるDH:13例
③臨床上健康な個体:17例

◆質量分析法によって検出された肝酵素◆
1.グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase、GAPDH)
2.アルコールデヒドロゲナーゼ(alcohol dehydrogenase、ADH)

研究の結果、抗GAPDH抗体は①の36%、②の69%、抗ADH抗体は①の72%、②の76%で認められた。一方で、③では、1例(抗ADH抗体陽性)を除き、自己抗体が発生していないとのことである。

上記のことから、2つの抗体が、DHの確定診断や重症度分類および予後判定を可能とする検査法へと発展していくことが期待できるのではないだろうか。

更に、自己抗体の研究が進み、「DHの根治を目指せる免疫療法」が開発されることを願っています。

更に、自己抗体の研究が進み、「DHの根治を目指せる免疫療法」が開発されることを願っています。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/29072876/?i=30&from=dog


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