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犬の急性膵炎の予後を判定できる一般血液検査項目に関する研究

投稿者:武井 昭紘

摂取したフードの消化、血糖値のコントロールなど、生命維持に重要な役割を担っている膵臓は、時折、急性膵炎(acute pancreatitis、AP)と呼ばれる致死的経過をもたらす強い炎症を起こすことがある。前述のようなAPに犬が罹患した場合、消化器症状(内臓痛、嘔吐、下痢など)を主訴に来院することが多く、腹部超音波検査または犬膵特異的リパーゼ(Spec cPL™)の結果に基づいて、確定診断へと至る。しかし、これらは、獣医師個人の経験・スキルに依存した主観的な側面があったり、ペットオーナーの経済的負担が大きい(一般的な院内血液検査よりも費用が掛かる傾向にある)といったデメリットが付き纏う。

そこで、イタリアのピサ大学は、犬のAPと一般的な検査所見(身体検査、健康診断にも用いる血液検査)の関連性について、研究を行なった。同研究には、APと診断された犬50例が参加しており、10を超える検査項目が測定されている。すると、血清中の①クレアチニン濃度および②ナトリウム濃度において、①は2.5 mg/kg以上、②は139 mEq/L未満を示す個体は、予後不良となることが判明した。

上記のことから、APの予後を客観的に判定できるとともに、APの診断・治療モニタリングに要する医療費の軽減を実現させる手法として、「一般的な血液検査」である①②が有用であると思われる。

これからも、一般血液検査の価値を押し上げるような研究が、数多く発表され続けることを願っております。

これからも、一般血液検査の価値を押し上げるような研究が、数多く発表され続けることを願っております。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/29076217/?i=19&from=dog


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