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犬以外のペットが発症したキアリ様奇形のケースリポート

投稿者:武井 昭紘

◆犬のキアリ様奇形◆
運動機能や平衡感覚を支配している小脳が、頭蓋骨内から頚部へと脱する疾患である。それに伴い、脳脊髄液の流路は障害され、疼痛や神経症状を呈する場合もあるため、MRIによる確定診断が重要とされている。

前述のような内容は、多くの動物病院のホームページでも閲覧できるもので、一般的な認識と言える。しかし、「犬以外」のペットにおけるキアリ様奇形の実態に触れられていることは極めて稀である。

このような背景の中、昨年10月、イタリアのモンスンマーノ・テルメ(フィレンツェの近く)に位置する動物病院から、猫のキアリ様奇形2例が報告された。同病院によると、罹患猫は運動失調および麻痺を発症しており、1例は外科手術(初回のMRI検査から約1年後)による症状緩和に成功したとのことである。

上記のことから、今後、日本で飼育されている猫を対象として、キアリ様奇形の有病率を調査することが必要となるかも知れない。加えて、外耳炎症状を訴える猫を診察する際には、ファントムスクラッチ(脊髄空洞症を起因とする耳の尾側付近を搔く行動)を類焼鑑別リストに追加することが望ましいのではないだろうか。

キアリ様奇形のほかにも、猫の症例を見逃し続けている犬特有の疾患が潜んでいるのかも知れません。

キアリ様奇形のほかにも、猫の症例を見逃し続けている犬特有の疾患が潜んでいるのかも知れません。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/29027670/?i=1&from=cat%20chiari


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