ニュース

海外 産業 臨床

ボーダー・テリアの子犬に起きるシェイキングパピー症候群に対する遺伝子検査の商業化

投稿者:武井 昭紘

イギリス、詳しくはイングランドとスコットランドの境界に位置するボーダーズ地方原産の小型犬であるボーダー・テリアには、シェイキングパピー症候群(正式名称:Spongiform Leucoencephalomyelopathy、SLEM)と呼ばれる神経疾患が知られている。このSLEMは、子犬が自身の体重を支えるくらいに成長した時期に表面化するという特徴があり、両後肢が左右に激しく揺れる、「制御不能な震え」が主症状となる。そのため、SLEMを目の当たりにしたペットオーナーやブリーダーが、安楽死を選択せざるを得ないという現状がある。

そこで、サフォーク(イングランド北東)に拠点を置く検査会社であるAnimal Health Trust社は、ミズーリ大学が特定したSLEMに関与する突然変異の配列を基にして、遺伝子検査サービスを開始したことを発表した。

前述のようなSLEMでは、脳脊髄におけるミエリンの欠如および神経組織の海綿状化が、印象的な症状、「止められない震え」となって発現して、寿命を迎える前に、短命に終わる(安楽死による)。ただし、SLEMは劣性遺伝であるため、該当する変異遺伝子のキャリア同士を交配させない限り、生まれてくる子犬がSLEMに罹患することは無い。

今回紹介した検査サービスが、世界中に普及して、適切なブリーディングのみが行われることを切に願っている。

ボーダー・テリアとSLEMを繋げてしまう突然変異が無くなり、忘れ去られる未来が訪れて欲しいものです。

ボーダー・テリアとSLEMを繋げてしまう突然変異が無くなり、忘れ去られる未来が訪れて欲しいものです。

 

参考ページ:
https://www.ahtdnatesting.co.uk/tests/shaking-puppy-syndrome/   (SLEMに関連する突然変異の検査)
http://www.caninegeneticdiseases.net/Leuko/index.html   (SLEMの病態について)


コメントする