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犬のストレスとリラックスを示すホルモンを唾液サンプルで測定する研究

投稿者:武井 昭紘

ヒトと同様に、犬にも、①ストレスを抱えやすい環境や②リラックスできるタイミングがあるものの、一緒に生活を送るペットオーナー以外の第三者、例えば獣医師または動物看護師などが、短時間の診察の中で、①と②を「常に正確に」把握することは非常に困難である。また、ストレスマーカーとしてのバソプレシン(Vasopressin、AVP)、リラックスマーカーとしてのオキシトシン(Oxytocin、OX)の濃度測定によって、犬の状況を個別に評価する手法が検証されているが、採血に伴うストレスや麻酔(脳液髄液の採取が目的)の影響を与えてしまうという現状がある。

そこで、アメリカの大学(アリゾナ大学、デューク大学、インディアナ大学)、ウォルサム研究所、補助犬養成センター(Canine Companions for Independence)は、動物への検査ストレスを出来得る限り軽減するために、犬の唾液サンプルによるAVPおよびOXの測定法を確立する研究を開始した。今回の研究では、犬から採取された唾液をELISA(酵素免疫測定法)とクロマトグラフィー(質量測定法)により解析しており、両ホルモンの検出に成功している。

今後は、様々な疾患や問題行動における唾液中のAVPおよびOXの濃度が測定され、上記の手技(特にELISA法)が臨床応用へと発展していくことに期待したい。

ELISA法が製品化されれば、短時間でストレスとリラックスの程度を「院内で」判定できる簡易キットとして、広く普及していくのではないかと思います。

ELISA法が製品化されれば、短時間でストレスとリラックスの程度を「院内で」判定できる簡易キットとして、広く普及していくのではないかと思います。

 

参考ページ:

http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0165027017303205?via%3Dihub


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