ニュース

「種」として存続危機に直面しているイギリス国内のジャーマン・シェパード・ドック

投稿者:武井 昭紘

イギリスでは、ジャーマン・シェパード・ドック(シェパード)が人気犬種の一つとして認識されて「いた」のだが、近年では全犬種の出生数に対するシェパードの占める割合が減少傾向(2005年では3.5%、2013年では2.2%)にあり、英国内での種の存続に支障が出ることが懸念されている。この現象は、実際に、イギリスのケネルクラブに登録される年間頭数が裏付けとなっており、2007年には12000件を超えていたシェパードの新規登録が、昨年2016年は775件までに落ち込んでいる。

そこで、イギリスの王立獣医科大学は、国内のシェパードに起きている飼育状況に変化をもたらしている要因に関して調査を行った。今回の研究では、英国の動物病院430件のいずれかを受診した45万匹分のカルテが精査されており、12146匹のシェパードが含まれていたとのことである。また、調査中に、斃死が記録されていたシェパードは272匹確認されていて、その死因について解析が進めらることとなった(ただし、272匹全てで死因が特定されている訳ではない)。すると、最多の死因は筋骨格の異常であり、次点は起立困難であることが明らかとなった。さらに、亡くなったシェパードの87%が安楽死であることも判明している。

上記のことから、シェパードに特徴的な「腰が低い骨格」が、一般家庭での飼育に適していないことが示唆されていると考えられる。また、シェパードの骨格は、ダルメシアンの柄やドーベルマンの毛色(ブルー)などと同様に、ドッグショーにおける「美しさの条件」となっていることが現状であるが、命に関わる評価基準は見直すことが望ましいのではないだろうか。

動物の「外見の美しさ」ではなく、「生きるために備わった機能美」を純粋に評価する未来が訪れることを願っております。

動物の「外見の美しさ」ではなく、「生きるために備わった機能美」を純粋に評価する未来が訪れることを願っております。

 

参考ページ:

https://cgejournal.biomedcentral.com/articles/10.1186/s40575-017-0046-4


コメントする