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北米で飼われているペットに中毒を起こす原因物質ランキング

投稿者:武井 昭紘

犬猫を含むペットを飼育する上で、日常的に注意を払うべきことは数多くある。例えば、健康状態(活動量、食欲、飲水量、皮膚の痒み、疼痛に関連した臨床症状など)や排泄行動の変化(失禁、トイレの失敗、食糞など)をチェックすることが挙げられる。更に、ペットが「触れる物」または「口にするペットフード以外の物」も、健康的な生活を維持するためには、厳密な管理をすることが望ましい。しかし、残念ながら、ペットオーナーの不注意(管理の不備)や不測の事態(不可抗力)により、事故(ペットの中毒性疾患)が発生し、緊急症例が動物病院に運ばれてしまうことがある。

この事故に対応するために、北米(アメリカ、カナダ、カリブ海地域)では、ペットの中毒症状に関する有料相談を24時間対応で受け付けているPet Poison Helplineというものが組織化されている。また、同組織はホームページ上に、実際に相談された事例を基にして、ペットに中毒を起こす原因物質ランキングをTOP10まで表示をして、注意喚起をしている(以下にランクインしている原因物質を記載する)。

◆ペットに中毒を起こす原因物質ランキングTOP10◆

1.NSAID(イブプロフェン、ナプロキセン):腎不全、消化管潰瘍を起こす
2.アセトアミノフェン:肝不全(犬)、溶血性疾患(犬猫)
3.抗うつ薬:神経症状(鎮静、発作)、興奮(TPRの上昇)
*セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(Serotonin-NorAdrenalin Reuptake Inhibitors、SNRI)であるベンラファキシンは猫が好む味であり丸飲みしやすいとのこと。

4.ADD / ADHD薬:微量のアンフェタミンまたはメチルフェニデートでも興奮作用が発現
5.ベンゾジアゼピン系薬剤および睡眠導入薬:動揺・歩行障害(犬)、肝不全(猫)
6.避妊薬:大量摂取による骨髄抑制(鳥類)
*犬にとってはパッケージが魅力的に感じない傾向があり被害が軽減されることがある

7.ACEi:低血圧、ふらつき
8.βブロッカー:微量の摂取でも致命的な低血圧・徐脈が起こる
9.甲状腺ホルモン製剤:大量摂取による振戦、筋緊張、喘ぎ、心拍数の急激な上昇、攻撃性の増加(犬猫)
10.コレステロール降下剤:HMG-CoA還元酵素阻害薬であるスタチンによる軽度の下痢・嘔吐(長期間摂取を続けると重症化)

 
上記のランキングから分かるように、ペットが中毒を起こす原因物質は、ヒトが服用する薬によって占められている。Pet Poison Helplineによると、中毒性疾患全体の50%が人体薬を原因としているとのことである。このことから、人体薬、ヒトが使用する化学物質(除草剤、殺虫剤、洗剤など)、中毒を起こすことが知られている植物・食べ物は、ペットの手が「絶対に届かない」場所に保管・設置することが重要であると考えられる。

この記事の筆者は、洗濯用洗剤を原因とした犬の肝不全を経験しているため、中毒の原因物質は日常生活の随所に潜んでいると思います。

この記事の筆者は、洗濯用洗剤を原因とした犬の肝不全を経験しているため、中毒の原因物質は日常生活の随所に潜んでいると思います。

 

参考ページ:

http://www.petpoisonhelpline.com/pet-owners/basics/top-10-human-medications-poisonous-to-pets/

 


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