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猫が呼吸するだけのストレスフリーな喘息診断法が確立される

投稿者:武井 昭紘

猫の喘息は、アメリカでは20匹に1匹(5%)が罹患する慢性呼吸器疾患であり、数カ月以上に渡って発作を伴う発咳を生じ、呼吸困難やチアノーゼを呈することもある。また、喘息の診断には、血液検査(好酸球の増加)、X線検査(器質的変化が無いことを確認する)、麻酔下での気管洗浄(異物や腫瘍がなく、好酸球数の増加を認める)やCTスキャン(肺病変の確認)が必要とされている。しかし、呼吸器に問題を抱える猫を保定したり、麻酔をかけることは、猫に大きなストレスをかけることになり、病態が悪化するリスクを抱えることになる。そこで、アメリカのミズーリ大学は、「猫が呼吸するだけ」で喘息の診断を可能とする手段を開発した。

これは、人医療における呼気凝縮液(Exhaled breath condensate、EBC)検査を応用したもので、罹患猫の安静時呼気を冷却・凝縮して得られたエアロゾルの成分(人医療ではサイトカイン、ケモカイン、脂質メディエーターなど)を解析するという方式である。同大学がEBC検査を開発する研究する過程において、臨床上健康な猫と喘息の猫のEBCに含まれる成分を分析・比較することで、罹患猫が判別できるバイオマーカーを特定して、血液生化学検査のように、猫喘息のマーカーをパネル化することに成功したとのことである。今後は、この「猫喘息パネル」を臨床応用できるように、多くの症例でのEBC検査データを集めて、研究を進めていくことになる。


上記のようなEBC検査は、猫が呼吸するだけで喘息の診断ができるため、猫の負担やストレスは大幅に軽減されるとともに、経済的負担も軽減され、早期診断・早期治療に繋がる可能性があるかも知れない。そして、将来的に、問診(稟告)や身体検査と同様の感覚で、EBC検査が実施できるようなシステムが構築されることに期待したい。

ストレスや負荷を増やしたくない症例のために、身体的にも、精神的にも、非侵襲性の検査が確立されていくことで、理想的な獣医療に近づくと思います。

ストレスや負荷を増やしたくない症例のために、身体的にも、精神的にも、非侵襲性の検査が確立されていくことで、理想的な獣医療に近づくと思います。

 

参考ページ:

http://www.morrisanimalfoundation.org/about-maf/press-room/press-releases/new-diagnostic-test-holds.html?referrer=https://www.facebook.com/


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