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猫の食欲増進剤で起きる副作用の原因を探求する

投稿者:武井 昭紘

猫は、犬と同様に様々な疾患を抱える。疾患が違えば症状も異なるが、いずれの病気であっても、共通して認められやすい症状というものもある(非特異的症状)。猫においては、食欲不振が非特異的症状の代表例であり、病気からの回復に大きな影響を与える要因となる。そのため、猫の食欲を増進させる薬剤(食欲増進剤)が多く存在しており、臨床現場で使用されている。

食欲増進剤は、効果、副作用、使用できる期間などで使いやすさが決まる。近年では、ミルタザピンという薬剤が、猫の食欲を「副作用が少ない状態で」コントロールすることができるのではないかと期待されている。そこで、ミルタザピンの副作用について記載したいと思う。

2006年から2011年において、Animal Poison Control Centerが84匹の猫(年齢・品種は様々)を用いてミルタザピンの副作用に関する研究を行った。ミルタザピンの副作用が多く認められた症例は、オーバードーズを起こしていることが判明した。オーバードーズを起こす原因として考えられたのは、ミルタザピンの錠剤(15mg錠)を分割しないで与えていたというものであった(通常の用量は1.88mg/headまたは3.75mg/headである)。また、投与間隔が短くなるほど副作用は出やすいということも明らかになった。さらに、2通りある適切とされる用量(1.88mg/headおよび3.75mg/head)を比較すると、1.88mg/headでの投薬の方が副作用が出にくいことが分かった。

上記のことから、ミルタザピンの副作用を抑えるポイントは以下であると考えられる。

1.15mg錠を分割して処方する(ペットオーナーに分割させない)

2.投与間隔を一定に保つ(決められた回数を守るようにペットオーナーに伝える)

3.錠剤を分割して1.88mg/headの用量で処方する

 

薬剤の副作用は薬剤の成分が原因のこともあるが、ミルタザピンのように用法・用量の誤りが大きな要因となることもあるので、薬剤の処方方法やペットオーナーへの指導には十分に注意する必要があると思われる。

投薬で副作用が起きた場合、錠剤の分割など処方の方法を変えるだけ解決することがあるかも知れません。

投薬で副作用が起きた場合、錠剤の分割など処方の方法を変えるだけ解決することがあるかも知れません。

 

参考ページ:

http://veterinarymedicine.dvm360.com/mirtazapine-cats-how-much-too-much


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