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IBDの診断を糞便検査で簡潔させる研究

投稿者:武井 昭紘

犬におけるIBDは、疼痛、重度の下痢、体重減少を認め、致死的経過をとる場合もある慢性の炎症性腸疾患である。診断には腸生検が用いられるが、侵襲的であり、経済的負担、罹患犬の麻酔リスクなどが課題となることがある。

そこで、カリフォルニア大学は、糞便検査でIBDの診断をするための研究を行った。糞便は、85匹の臨床上健康な犬と65匹の慢性炎症性腸疾患の兆候を示す犬から採取された。検査は、16S rRNAシークエンスという方法で実施された。この方法は、数百万の細菌種を同定することができる遺伝子解析である。

研究の結果、IBDの犬とIBDではない犬の糞便を90%以上の精度で判別できることが判明した。

現段階では、臨床現場で利用できる検査ではないが、研究が進み、データが蓄積されることで、一般の動物病院で利用できる検査となることが期待できる。

カリフォルニア大学は、ヒトと犬の腸内細菌叢は、異なる部分があるため、犬の研究データをヒトへとそのまま応用することはできないとしている。しかし、同大学は、IBDを起こすことが多い動物園動物での調査も進めて、各動物でのデータを収集しようとしている。将来的には、多様な動物種のデータがヒトのIBDの診断へと繋がる可能性があると考えられる。

糞便検査でIBDを診断する時代が到来すれば、診断スピードは格段に上がり、経済的負担と罹患犬の負担が大きく軽減されることになる。消化器症状で悩むペットが減るキッカケとなりうる研究ではないかと思われる。

顕微鏡検査のようび簡便にIBDの診断ができる日が近づいているようです。

顕微鏡検査のようび簡便にIBDの診断ができる日が近づいているようです。

 

参考ページ:

https://www.sciencedaily.com/releases/2016/10/161003150111.htm

http://www.nature.com/articles/nmicrobiol2016177


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