数多の研究で、短頭種気道症候群がテーマとなり、その疫学や病態が解析されている。しかし、これらの研究には偏りがある。研究対象となっている品種が、主にブルドッグ、フレンチブルドッグ、パグなのだ。しかし、短頭種に属する品種は他にも存在しており、この3品種のみに焦点を当てている状況では、短頭種気道症候群の「真の」実態は明らかにならないのである。果たして、ブルドッグ、フレンチブルドッグ、パグ以外の品種の短頭種気道症候群は、どのような状況なのだろうか。
冒頭のような背景の中、イギリスおよび台湾の大学らは、イギリスで飼育されている短頭種が発症した気道症候群について調べる研究を行った。なお、同研究では、アーフェンピンシャー、ボストンテリア、ボクサー、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル、チワワ、ボルドー・マスティフ、ブリュッセル・グリフォン、狆、キング・チャールズ・スパニエル、マルチーズ、ペキニーズ、ポメラニアン、シーズー、スタッフォードシャー・ブル・テリアが対象となっている。すると、以下に示す事項が明らかになったという。
◆14の犬種における短頭種気道症候群の発症リスク◆
・全品種で呼吸状態に異常が認められた
・しかしマルチーズとポメラニアンでは臨床的に意義のある症状は無かった
・狆とペキニーズで短頭種気道症候群の発症率が最も高かった
・キング・チャールズ・スパニエルでは発症率が低かった
・下記のファクターが短頭種気道症候群と有意に関連していた
①BCSの上昇
②鼻孔狭窄
③craniofacial ratio(犬の頭を横から見た時の頭蓋と鼻の長さから算出)の低下
上記のことから、ブルドッグ、フレンチブルドッグ、パグ以外の短頭種にも気道症候群が発生することが窺える。また、品種によって発症リスクが変動していることが分かる。よって、今後、発症リスクが高い品種と低い品種の相違点から短頭種気道症候群を分析する研究が進み、発症メカニズムの解明、治療法・予防法の開発が実現することを期待している。

898匹の犬が研究に参加しました。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41706647/


