世界各地の大学が関与する、ピモベンダンの効果を検証する研究(EPIC試験)によると、無症候性の僧帽弁閉鎖不全症を抱える犬にピモベンダンを投与すると、うっ血性心不全の発症時期を遅らせて生存期間を延長することができるという。そこで、疑問が浮かぶ。果たして、その効果とは、具体的な数値に直すとどれ程のものなのだろうか。
冒頭のような背景の中、ヨーロッパの大学らは、大規模臨床データベースVetCompassに登録されている、且つ、IV/VIの心雑音が聴取された犬(6歳齢以上、15kg以下)を対象にして、ピモベンダンの効果を調べる研究を行った。なお、同研究では、薬剤を処方されてからの5年間の経過を追跡している。すると、920匹以上のデータが集積され、以下に示す事項が明らかになったという。
◆IV/VIの心雑音が聴取された犬に対するピモベンダンの効果◆
・①ピモベンダンを処方されなかった犬(約56%)に比べて②処方された犬(約34%)ではうっ血性心不全の発生率が低かった
・①に比べて②では健康的に生活が送れなくなる「健康損失日数」が311日少なかった
・①(905日)に比べて②(1051日)では生存期間が長かった
上記のことから、IV/VIの心雑音が聴取された犬にピモベンダンを投与することで、うっ血性心不全の発生率を低く抑え、健康的に生活が送れる日数を増やし、生存期間を延ばすことができると言える。よって、条件に合致する犬を診察している獣医師には、ピモベンダンの使用を検討することをお薦めする。

全症例は、2016年~2018年に心雑音が聴取されております。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40531835/


