ニュース

猫の下部尿路疾患の発生状況と新型コロナウイルスのパンデミックとの関連性

投稿者:武井 昭紘

オーストラリアの動物病院らの研究によると、新型コロナウイルスのパンデミック前後(2019年2月8日〜2021年2月8日)において、猫の特発性膀胱炎や尿路閉塞の発生状況に大きな変化は生じていないという。これは、実に不思議な現象である。なぜならば、パンデミックによって移動制限・経済活動の制限を受けた人々の日常が変わることに伴って、飼育環境が激変したペットはストレスを感じていたとされているからだ。つまり、パンデミックに関連するストレスで、特発性膀胱炎や尿路閉塞の発生件数は増えても可笑しくはなかったのである。では、何故「そう」ならなかったのか。パンデミックの中で、何が起きていたのだろうか。

 

冒頭のような背景の中、ポルトガルの大学らは、2019年から2021年の間で下部尿路疾患と診断された290匹以上の猫の診療記録を解析する研究を行った。など、同研究では、症例を①パンデミック前に診察を受けたグループと②パンデミック中に診察を受けたグループの2つに分けている。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆猫の下部尿路疾患とパンデミックの関連性◆
・①に比べて②の再発率と死亡率は有意に低下した
・①に比べて②では尿路閉塞の発生率が高かった
・しかし②では尿路閉塞に起因する死亡率は有意に低かった

 

上記のことから、①に比べて②の下部尿路疾患は重篤化しづらいことが窺える。これを受けて、大学らは、パンデミックによる移動制限に伴ってオーナーの「おうち時間」が増えたことが下部尿路疾患の病状悪化を防いでいると結論付けた。それは即ち、常に自宅にオーナーが居ることで病状の変化にリアルタイムで気が付くことができたことに他ならないという。よって、仕事などで留守にしがちな猫のオーナーは、許された時間の中で可能な限りの細心の注意を払って愛猫の様子を観察し、彼らの下部尿路疾患の兆候を一早く察知して頂けると有難い。

オーナーが常に自宅に居ることで、オーナーと猫のコミュニケーションが増えて、猫のストレスが緩和されたことも病状の悪化を防ぐことに寄与したかも知れません。

 

参考ページ:

https://www.frontiersin.org/journals/veterinary-science/articles/10.3389/fvets.2025.1546288/full


コメントする