手術に際して注意すべきことの一つに、感染が挙げられる。そのため、この感染を防ぐべく、周術期に抗生剤が使用されることがあるのだ。しかし、その効果や必要性に疑問を抱く専門家は少なくない。つまり、抗生剤を使用したとしても、周術期の感染は防げないと考える専門家が居るのである。果たして、真実は何処にあるのだろうか。
冒頭のような背景の中、ドイツの大学は、大学付属動物病院(手術室に多くの人間が出入りする環境)における周術期の抗生剤の使用状況と、手術部位感染の発生状況を調べる研究を行った。なお、同研究では、診療記録に加えてペットのオーナーへのアンケートによってデータが集積されている。すると、以下に示す事項が明らかになったという。
◆犬猫に起きた手術部位感染と彼らに使用された抗生剤の効果◆
・犬と猫1060匹のデータが集まった
・有効な回答841件のうち66件で手術部位感染が起きた(発生率7.8%)
・手術の種類を問わず抗生剤の使用は感染リスクを減少できなかった
・術前と術中に予防的に抗生剤を使用した場合と術後まで継続して抗生剤を使用した場合においてリスクに差は無かった
上記のことから、抗生剤の使用は手術部位感染のリスクの軽減に繋がらないことが窺える。よって、耐性菌が社会問題となっている現状を鑑み、手術前から感染が確認された症例に限り抗生剤を使用することが望ましいと思われる。

過去5年間(新型コロナウイルスウイルスのパンデミックが起きた時期を除く)のデータが対象です。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39549932/


